経審X2点とは|自己資本・平均利益の計算方法と評点対策
経営事項審査のX2点(自己資本額・平均利益額)の計算方法を解説。財務指標の算出式、減価償却前経常利益の役割、建設業者が評点を上げるための戦略をわかりやすく説明します。
経審X2点とは|経営事項審査の重要な財務指標
経営事項審査(経審)は、公共工事の入札に参加する建設業者が定期的に受ける審査制度です。その中でも「X2点」は、企業の財務体質を評価する重要な指標として機能しています。
X2点の構成は、以下の2つの要素から成り立ちます。
- 自己資本額:企業が自己資金で調達した資産の総額
- 平均利益額:直近3年間の利益の平均値
これらは建設業者の経営状況を客観的に判断するために用いられ、特に大型工事の入札資格や加点審査に大きな影響を与えます。
自己資本額の計算方法
基本的な計算式
自己資本は、決算書の「貸借対照表」から算出します。
自己資本 = 総資産 - 負債総額
もしくは、より詳細には:
自己資本 = 資本金 + 利益剰余金 + その他の資本
計算例
A建設株式会社の直近決算(令和5年度)を例に説明します。
| 項目 | 金額(千円) |
|---|---|
| 総資産 | 850,000 |
| 負債総額 | 480,000 |
| 自己資本 | 370,000 |
この企業の自己資本額は3億7000万円となります。
過去3年度の平均値を経審に報告
経審では、過去3年度の自己資本額の平均値を算出します。
3年平均自己資本 = (1年目 + 2年目 + 3年目)÷ 3
例えば、3年度の自己資本がそれぞれ350,000千円、360,000千円、370,000千円の場合:
(350,000 + 360,000 + 370,000) ÷ 3 = 360,000千円
平均自己資本は3億6000万円です。
平均利益額の計算方法
減価償却前経常利益(EBITDA的概念)
経審で用いられる「平均利益」は、単なる当期純利益ではなく、減価償却前経常利益が基準となります。これは、一時的な資産減損などの影響を排除し、企業の本業の稼ぐ力を正確に評価するためです。
減価償却前経常利益 = 経常利益 + 減価償却費
計算例
B工事業有限会社の令和5年度決算を例にします。
| 項目 | 金額(千円) |
|---|---|
| 経常利益 | 22,000 |
| 減価償却費 | 8,500 |
| 減価償却前経常利益 | 30,500 |
この企業の減価償却前経常利益は3050万円です。
3年度の平均利益を算出
3年平均利益 = (1年目利益 + 2年目利益 + 3年目利益)÷ 3
過去3年度の減価償却前経常利益がそれぞれ28,000千円、29,500千円、30,500千円の場合:
(28,000 + 29,500 + 30,500) ÷ 3 = 29,333千円
平均利益は約2933万円となります。
X2点が経審評点に与える影響
スコアリングの仕組み
X2点は、自己資本額と平均利益額の2つの指標を点数化して、以下の算式で計算されます。
X2点 = (自己資本点 + 平均利益点)÷ 2
各指標は、業種別・規模別に定められた基準表に照らし、0~100点の範囲で評価されます。
- 自己資本点の目安:自己資本が大きいほど高点
- 平均利益点の目安:継続的に利益を上げているほど高点
経審全体での位置付け
経審の総合評点(500点満点)の構成は以下の通りです。
| 項目 | 配点 |
|---|---|
| Y(労務費率) | 125点 |
| Z(技術職員数等) | 125点 |
| X1(工事種類別成績) | 125点 |
| X2(自己資本・利益) | 125点 |
X2点は全体の25%を占める重要な要素です。特に大型工事の入札では、X2点の高低が競争力を大きく左右します。
自己資本充実の重要性
なぜ自己資本を重視するのか
自己資本が充実していることは、以下を意味します。
- 信用力の強さ:銀行融資や協力業者からの信頼が厚い
- 経営の安定性:赤字時の対応余力がある
- 工事規模の拡大可能性:大型工事受注時の総合評定値(経審の最終評点)が高くなりやすい
自己資本を増やすための戦略
| 施策 | 内容 |
|---|---|
| 利益の内部留保 | 配当を抑制し、利益を企業内に蓄積させる |
| 増資 | 資本金を増額して新規資金を調達 |
| 無利子・低利ローン活用 | 制度融資や経営支援融資を活用して有利子負債を減らす |
| 工事利益率の改善 | 現場管理を徹底し、粗利益率を向上させる |
平均利益を向上させるための実務対策
減価償却費を適切に計上
機械器具の取得時期や償却方法を見直すことで、減価償却前経常利益が改善される場合があります。ただし、脱税や不正計上は厳禁です。税理士と相談の上、適正な会計処理を心がけてください。
経常利益の確保
営業利益を確保したうえで、営外利益(金利収入など)と営外費用(金利支払いなど)をバランスさせることで、経常利益を最大化できます。
- 不採算工事の削減:受注時の採算確認を厳格に
- 原価管理の強化:現場経費の無駄削減
- 有利子負債の最小化:金利負担を軽減
3年平均の視点
経審では3年平均が評価されるため、1年の浮き沈みより継続的な安定利益が重視されます。短期的な売上増より、毎年着実に利益を積み上げることが大切です。
経審申請時のチェックポイント
決算書類の確認
X2点の計算に使用される決算書類は以下です。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 製造原価報告書(該当する場合)
- 提出年度の前3年度の財務書類
申請前に、これらの書類が正確であるか、税理士と確認しましょう。
経審システムへの入力
建設業許可を管轄する都道府県知事(または国土交通大臣)に申請する際、経審システムに以下を正確に入力します。
- 過去3年度の自己資本額
- 過去3年度の減価償却前経常利益
- その他の経営数値
入力ミスは評点に直結するため、複数人での確認を推奨します。
まとめ
X2点(自己資本額・平均利益額)は、建設業者の経営基盤と稼ぐ力を評価する重要な指標です。
経審X2点の要点:
- 自己資本 = 総資産 - 負債総額(3年平均で評価)
- 平均利益 = 減価償却前経常利益の3年平均
- 経審総点の25%を占める重要な項目
- 公共工事入札の競争力に直結
自己資本の充実と継続的な利益確保は、単に経審評点を上げるだけでなく、企業の長期的な成長基盤を強化します。毎年の決算時に財務状況を見直し、自社の経営数値を的確に把握することが、経営戦略立案の第一歩となるのです。
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